「第二新卒が面接官から好印象を持たれるエピソードってどんなの…?」
「社会人経験が浅くて語れるエピソードがない…」
このような悩みを抱えていないでしょうか?
採用面接を受ける多くの第二新卒者の方が悩まれるポイントとして、「エピソードが難しい!」「エピソードが思いつかない!」といった点が挙げられます。
採用面接の現場では、「退職理由」や「志望動機」と並んで非常に重視される「エピソード」。
面接官は、第二新卒者の「エピソード」から人間性や価値観、成長意欲を見抜こうとしており、採用面接では「エピソード」で好印象を与えることが面接突破に必要不可欠です。
そこで、この記事では年間300人以上の採用面接を対応する現役面接官の私が、「エピソード」について悩まれる第二新卒者の方に向けて、面接官に好印象を与える「エピソード」の特徴について徹底的に解説します。
また、「エピソード」の構成方法やNG例、職種別おすすめ「エピソード」のパターンなど幅広く対策をお伝えしますので、自信をもって採用面接に臨みたい第二新卒者の方はぜひ最後までご覧ください。
- 第二新卒の採用面接で「エピソード」が重視される理由
- 面接官に好印象を持たれる「エピソード」の特徴5選
- NG例:面接官が困る/共感しづらい「エピソード」
- 職種別おすすめ「エピソード」のパターン
- 「エピソード」の考え方4ステップ
第二新卒者が語るべき「エピソード」の重要性

まず第一章では、第二新卒の採用面接で「エピソード」が重視される理由について解説します。
第二新卒者は社会人経験が短く、前職での職務経験やスキルが不足しがちなため、将来性や伸びしろを加味したポテンシャル採用されるケースがほとんどです。
ポテンシャルを見極めるのために、採用面接における「エピソード」は非常に役に立ちます。
なぜなら、第二新卒者の過去の行動を確認することで、第二新卒者自身の考え方や行動特性といった内面を知ることができるからです。
採用面接で第二新卒者が語る「エピソード」は、単なる「過去の出来事」ではありません。「エピソード」は、第二新卒者自身の内面を知るための重要なカギになります。
そのため、面接官は採用面接において第二新卒者の「エピソード」に耳を傾け、丁寧に確認しようとしています。
具体的には以下3つのポイントを重点的に確認していますので、採用面接を受ける第二新卒者の方は覚えておくと良いでしょう。
- 性格や人柄といった”人間性”
- 伸びしろを感じる”成長意欲”
- 第二新卒者自身に対する”自己理解”
1.性格や人柄といった”人間性”
面接官は、まず最初に第二新卒者の”人間性”をチェックしています。
これは第二新卒者のスキルや職務経験を確認する前に、そもそも「どのような考えをもっているのか」、「一緒に仕事する相手としてふさわしいか」、「信用できる人物か」などといった人としての素養を確認することで、入社後のミスマッチを防ぐ狙いがあります。
第二新卒者は入社後に育成することを前提に採用されますので、仮にスキルや職務経験が足りていなくても入社後の研修やトレーニング、OJTなどで後から補うことが可能です。
しかし、”人間性”は残念ながら後から補うことが難しく、入社後になって「こんな人だとは思わなかった」となってしまうと、もう後戻りすることでできません。
そのため、面接官は第二新卒者の「エピソード」から、自社のカルチャーにマッチする”人間性”かを厳しく見極めようとしています。
2.伸びしろを感じる”成長意欲”
1番でも触れたように第二新卒者は入社後の育成を前提にポテンシャル採用をされますが、どれくらいの成長が期待できるかは第二新卒者自身の”成長意欲”にかかっています。
“成長意欲”が低い人は残念ながら伸びしろが少ないと判断され、採用面接の突破は難しいでしょう。
面接官は第二新卒者の「エピソード」から、課題に対する向き合い方や学びへの姿勢を確認することで、第二新卒者自身に”成長意欲”があるかを確認しています。
3.第二新卒者自身に対する”自己理解”
採用面接を受ける第二新卒者は、事前準備として自己分析を行い”自己理解”を深めておくことも重要です。
“自己理解”は自分の性格的な強みや弱みといった話ではなく、前職の業務における自分の強みや弱みを言語化して「エピソード」として話せるように準備しておくと良いでしょう。
第二新卒者は社会人経験がありますので、前職でどのような経験をしたのか、そこでは何を学んだのか、などをなるべく具体的に「エピソード」にすると説得力が増します。
面接官に好印象を持たれる「エピソード」の特徴5選

第二章では、面接官に好印象を持たれる「エピソード」の特徴について解説していきます。
面接官が「おっ、いい話だね」と思うエピソードには、共通する型や考え方がありますので、エピソードを考える際に意識しておくと良いでしょう。
具体的には、以下の5つのポイントを押さえるだけで、説得力と好感度が一気に上がります。
特徴 | 解説 | 面接官が感じること |
---|---|---|
①行動→結果→学びの流れがある | STAR法で「状況→行動→結果→学び」を整理 | 論理的思考・自己理解の深さ |
②前向きな失敗経験がある | 挑戦 → 失敗 → 挽回のストーリー | 成長意欲・柔軟性 |
③相手・組織の視点が入っている | 周囲の声を聞き対応した経験 | 協調性・関係構築力 |
④意志を持った選択をしている | 自分の意思で行動したエピソード | 主体性・価値観の明確さ |
⑤応募企業との親和性がある | 応募企業の理念・事業と重なる体験 | 志望度の高さ・相性の良さ |
STAR法とは、面接や日常会話で過去の経験や出来事を具体的に説明するためのフレームワークです。Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の4つの要素で構成され、これらの要素を順番に説明することで、相手に分かりやすく、かつ説得力のある伝え方ができます。
例えば、「前職で社内の新人研修用マニュアルを作成した」というエピソードであれば、「なぜマニュアルを作成する必要があったのか」「どんな困難があったのか」「作成した結果どうなったのか」「そこから学んだことは何か」というようなSTAR法で語ることで、主体性や柔軟性、学びへ意欲を伝えることができます。
エピソードの価値は、“内容”よりも”構造”によって決まることを覚えておきましょう。
NG例:面接官が困る/共感しづらい「エピソード」とは

第二章では第二新卒者が語るべき面接官に好印象を持たれるエピソードについて、その特徴を解説してきました。
続く第三章では、反対に面接官を困らせてしまうエピソードについて解説していきます。
エピソードを考える上で最も避けた方が良いことは、「面接官がリアクションしにくい話」です。
具体例として以下のようなNGパターンを知っておくことで、採用面接におけるマイナス評価を避けることができますので、覚えておくと良いでしょう。
- 目的や背景が曖昧な話
- 結果や成果がぼやけている
- 主語が常に自分だけ
- 感情的すぎる語り方
1.目的や背景が曖昧な話
何のために行動した話なのか、その背景には何があったのかが不明瞭な話は、第二新卒者の主体性や思考した痕跡が面接官に伝わりにくく、エピソードとしては弱い印象を持たれてしまいます。
エピソードの中で「なんとなく…」や「気づいたら…」というワードが出てくると、面接官にマイナスイメージを持たれてしまう可能性があるため、控えた方が良いでしょう。
エピソードは、自分が行った行動を自信をもって話せるよう目的や背景まで明確にした話にすることをお勧めします。
2.結果や成果がぼやけている
エピソードの締めくくりとして、最終的にどのような結果や成果が生まれたのかを明確にすることは非常に重要です。
最終的な着地点が「頑張りました。」で終わっている話では、何がどう改善されたのか、何を学んだのかといったポイントが欠けており、面接官に幼稚な印象を与えてしまいます。
エピソードの最後は、結果としてどうなったのか、どのような成果や貢献があったのかを、可能な限り数字などの客観的な根拠と併せて伝えられると良いでしょう。
3.主語が常に自分だけ
エピソードの主語がすべて自分だけになっている場合も、注意が必要です。
面接官も最初から疑っているわけではありませんが、自分以外の客観的な視点が含まれていないエピソードだと主観的な話に終始してしまい、面接官から「どの程度信頼できるのか?」といった疑念を持たれてしまう可能性があります。
上司や同僚、チームメンバーなどの社内からの視点や、顧客目線など自分以外の主語も含めたエピソードにすることで、話の信頼性が増すとともに協調性をアピールすることが可能ですので、覚えておくと良いでしょう。
4.感情的すぎる語り方
熱い思いをもってエピソードを話すことはとても重要ですが、あまりに感情的な語り方になってしまうと逆効果になることもあります。
特に、「腹が立った」、「悲しかった」、「悔しかった」といったどちらかというとネガティブな感情を抱いたエピソードの場合、あまりに感情的に話してしまうと話の本質が面接官に伝わらず、感情のコントロールを懸念されることも考えられます。
自信をもってエピソードを語るために感情を乗せることは大切ですが、あくまでも採用面接の場であることを忘れないようにしてください。

面接官はエピソードを確認することで、「この人がどんな価値観で行動しているのかが知りたい。けれど、話が抽象的すぎると評価が難しい。。」と思っています。
改善のヒントは、なぜそのような行動に至ったのか、背景や動機を丁寧に添えることです。
具体的には、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
- 結果は”数値”や”反応”などを客観的に示す
- 相手や状況に応じた”工夫”を語る
- “学び”や”今後にどう活かせるか”を含める
職種別おすすめ「エピソード」のパターン

ここまで、第二新卒者にとっての「エピソード」の重要性や、面接官に好印象を持たれる「エピソード」の特徴とNG例についてまとめてきました。
次の章では、採用面接で使える具体例として、職種別のおすすめ「エピソード」のパターンを紹介します。
第二新卒者の方が「エピソード」を考える際の参考になりますので、ぜひチェックしてみてください。
職種 | 推奨される要素 | エピソードの具体例 |
---|---|---|
営業職 | 巻き込み力/提案力 | SNS運用を提案し、売上向上に貢献した |
企画職 | 仮説・検証/創造力 | 展示会で新企画を立ち上げ、来場者数増加 |
事務職 | 丁寧さ/安定性/調整力 | 社内のマニュアルを整備し、業務効率化 |
エンジニア職 | 継続学習意欲/探究心 | 独学で新言語を習得し、アプリ開発経験あり |
接客・販売 | 傾聴力/顧客対応力 | クレーム対応からファン化につながった話 |
- 職種に求められる“スキル”と“姿勢”を洗い出す
- 同じ体験でも、語る切り口を調整するだけで説得力が大幅UP
第二新卒者必見「エピソード」の考え方4ステップ

職種別のおすすめ「エピソード」がわかったところで、次の章では実際に第二新卒者が「エピソード」を考えるための4つのステップについて解説していきます。
以下の4つのステップをもとに「エピソード」を考えていくことで、内容がブラッシュアップされ面接官に“伝わるエピソード“に進化します。
「エピソード」を考える際に参考にしてみてください。
- エピソードの候補を書き出す
- STAR法で整理する
- 応募企業の求める要素と照らし合わせる
- 言葉選びを熟考する
STEP1:エピソードの候補を書き出す
まず最初は、採用面接で使えそうなエピソードの候補を書き出すことから始めてみましょう。
第二新卒者は社会人経験があるため、採用面接で語るエピソードはできるだけ前職の経験をもとに作成することをお勧めしますが、職務経歴が極端に短い場合や語れるエピソードがどうしても思いつかない場合は、学生時代の話やアルバイトの経験から考えてもらっても大丈夫です。
過去の自分の経験を棚卸して、エピソードとして使えそうな候補をピックアップしてみてください。
STEP2:STAR法で整理する
STAR法は、過去の経験や出来事を具体的に説明するためのフレームワークです。
Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の4つの要素で構成され、これらの要素を順番に説明することで、相手に分かりやすく、かつ説得力のある伝え方ができます。
具体的には、以下4つのポイントに沿ってエピソードを整理してみると良いでしょう。
- Situation(状況):どんな場面だった?
- Task(課題):何が求められていた?
- Action(行動):どう動いた?
- Result(結果):成果と周囲の反応は?
STEP3:応募企業の求める要素と照らし合わせる
応募する企業の募集要項や会社のホームページを細かく確認し、採用面接で重視されそうな経験、スキル、価値観といった重要ポイントを抽出してください。
抽出したポイントと自分の考えたエピソードに合致する点があれば、そこは採用面接で強調して面接官に伝えるべきアピールポイントになります。
エピソードを話す際に、最終的に何をアピールするためのエピソードなのか明確にすることで、話の着地点を見失わなくなりますので、ゴールを意識したエピソードを作成しましょう。
STEP4:言葉選びを熟考する
伝えるエピソードが決まったら、最後にどのような言葉を使って話すか言葉選びを検討しましょう。
ただ単に「○○した」ではなく、「自ら主体的に○○を進めた」など話の主体や動詞を意識してエピソードの言葉選びを考えると、面接官に好印象を与えることができます。
また、感情表現も「嬉しかった」のような稚拙な表現ではなく、「自信につながった」、「学びが成長につながった」など、自らにどのような影響を与えたかまで含めると良いでしょう。

エピソードを誰かに話してみることで、客観的な視点や改善点が見つかることもあります。録音して自分で聴き返すのもおすすめです。
【Q&A】第二新卒が「エピソード」について直面する悩み・疑問

最後に、第二新卒者が「エピソード」について直面しやすい悩みや不安、疑問についてQ&A方式で回答していきます。
Q.職務経験が浅くても話せるエピソードはありますか?
はい、もちろんあります。
第二新卒者の方は社会人経験が短く、採用面接でアピールできるほどの経験を前職で積めなかった方もたくさんいます。
そんな方は、学生時代のゼミ活動、アルバイト、サークル、留学経験など、責任を持って取り組んだ経験であればエピソードとして十分に評価対象です。
大切なことは「何を考え、どう行動したか」を伝えることですので、前職の経験をエピソードにできなくても、自信をもってそれ以外のエピソードをアピールしてください。
Q.アルバイトしか経験がありません。それでも通用しますか?
アルバイトも社会経験の一環ではありますので、エピソードとして活用しても問題ありません。
アルバイトで経験した職務やスキル、得られた技能が応募企業の業務にマッチしているのであれば、エピソードとして有効ですので積極的にアピールすると良いでしょう。
第二新卒者の場合、業種も職種も完全に未経験で新しいキャリアにチャレンジする方も少なくありませんので、アルバイトでも貴重な経験値として自信をもって面接官に話してください。
なお、以下の記事に第二新卒者が異業種転職する際のポイントをまとめています。ぜひチェックしてみください。
Q.どこまでプライベートな話をしてもいいですか?
仕事とは全く関係のないプライベートな話であっても、明確な目的や学びを得られた経験なのであればエピソードとして話をしても問題ありません。
ただし、ただのプライベートな話で終わらず、そこから得られた価値観や行動力を応募している企業のニーズと結びつけるよう気を付けてください。
どこまでという明確な線引きは難しいですが、面接官が知りたいと思っているポイントにマッチするエピソードであれば、プライベートな話をしても全く問題はないでしょう。
Q.応募する企業ごとにエピソードは変えるべきでしょうか?
自分が自信をもって話せるエピソードなのであれば、話の内容を変える必要はありません。
ただ、応募している企業が求める人物像や業務内容に照らして、話の角度や結論の伝え方を工夫すると良いでしょう。
同じエピソードの話でも、「関係構築力」、「課題発見能力」、「行動力」、「成長意欲」などひとつの体験から様々な成果があると思いますので、アピールするポイントを企業によって変えてみてください。
せっかくの貴重な体験をエピソードとして使うのであれば、最大限の効果が発揮できるよう伝え方を工夫することをお勧めします。
【まとめ】第二新卒の採用面接を成功させよう!

この記事では、年間300人以上と面接する現役面接官の私が、第二新卒者が面接官に好印象を持たれる「エピソード」について徹底的に解説してきました。
冒頭でも触れたとおり、採用面接における「エピソード」は第二新卒者自身の人間性や人柄、価値観をアピールする上で非常に重要なポイントになります。
採用面接突破には「エピソード」で面接官に好印象を与えることが必要不可欠ですので、事前準備の段階でしっかりと考えておくと良いでしょう。
この記事を読むことで、第二新卒の採用面接における「エピソード」について正しく理解し、一人でも多く第二新卒者が希望のキャリアをつかめることを心から願っています。