「第二新卒の採用面接は厳しいと聞いて不安」
「第二新卒は面接で落とされやすいのでは…?」
このような悩みを抱えていないでしょうか?
たしかに、第二新卒の採用面接は社会人経験が少ないこともあり難しい側面はありますが、しっかりと事前準備をすることで十分対策は可能です。
むしろ、第二新卒だからこそのアドバンテージを理解することで、採用面接を有利に進めることも可能です。
この記事では、年間300人以上と面接をする現役面接官が、第二新卒の採用面接に不安を抱えている方に向けて、第二新卒の面接が厳しいといわれる理由と対策を徹底解説します。
第二新卒の採用面接を有利に進め、転職活動を成功に導きたい方はぜひご覧ください。
- 「第二新卒の面接が厳しい」といわれる理由
- 採用面接でアピールすべき第二新卒ならではのアドバンテージ
- 第二新卒の採用面接で面接官が見ているポイントと対策
第二新卒の面接が厳しいといわれる理由

冒頭で、第二新卒の採用面接は、しっかりと事前準備をすることで対策可能とお伝えしました。
しかし、ネット上の多くの体験談や知恵袋では、「第二新卒の採用面接は厳しい」と書かれています。
これは第二新卒特有の面接対策ができておらず、採用面接に苦手意識を持つ人が多いことを示しています。
この章では、第二新卒の採用面接が厳しいといわれる理由を3つ紹介します。
- 短期離職となる理由の説明を求められる
- 社会人経験やスキルの不足
- 新卒採用との面接の違いを理解していない
1. 短期離職となる理由の説明を求められる
第二新卒は、新卒採用から数年以内で退職をしようとしているため、企業から「採用してもすぐに辞めてしまう可能性がある」ことを懸念されます。
特に採用から1年以内で転職を検討している場合、企業は「ストレス耐性」や「適応力」に問題がないか厳しくチェックする傾向にあります。
採用した人材がすぐに退職してしまうと、企業は採用や育成にかけたコストや時間が無駄になってしまうからです。
そのため、第二新卒の採用面接では必ず転職理由の説明を求められます。転職理由の説明の仕方を対策しておかないと、面接官に大きくマイナスイメージを与えてしまいます。
2. 社会人経験やスキルの不足
中途採用は新卒採用と異なり、基本的に「即戦力」が求められます。
しかし、第二新卒は前職でのスキルや社会人経験が不足しており、企業から即戦力としての活躍は厳しいと判断されることがあります。
第二新卒ということで、企業側もある程度の経験不足は許容していますが、少なくとも基本的なビジネスマナーや最低限のビジネススキルを有していることは、期待されていることを覚えておきましょう。
時間厳守や言葉遣いなど面接中のふるまいは当然ですが、前職での経験やスキルを具体的にアピールすることができないと、企業側の期待値に達していないとみなされる恐れがあります。
3. 新卒採用との面接の違いを理解していない
新卒採用の場合、多くの企業は複数名を同時に大量採用し、一定期間の研修を経て本人の希望や適性をもとに配属する部署を決定します。
一方、中途採用の場合は募集段階で配属部署やポジションが決まっていることがほとんどです。
そのため、配属される部署やポジションについても志望動機が話せるよう事前準備が必要になります。募集している職種やポジションにおいて、いかに自分に適性があるかをアピールすることが重要です。
また、新卒の採用面接が人事部門を中心に行われるのに対し、中途の採用面接は募集している部署主導で行われます。面接官も配属予定部署のマネージャーや課長級になることが一般的です。
面接官が直属の上司になる可能性を踏まえ、面接中に「この人と一緒に働きたい」と面接官に思わせることができるかどうかも、面接通過のポイントになります。
第二新卒を積極採用する企業は8割以上!面接でアピールすべき第二新卒のアドバンテージ

ここまでの内容を見て、第二新卒の面接は新卒採用や一般的な中途採用の面接よりも厳しいと思われたかもしれません。
しかし、株式会社マイナビが2022年に行った調査によると、20歳~25歳の第二新卒の採用見通しについて、約8割以上の企業が採用に積極的であるという結果が出ています。

出典:中途採用状況調査2023年版(2022年実績)|株式会社マイナビ
この調査からもわかる通り、企業側は厳しい面接を通過できる優秀な第二新卒を求めており、転職市場全体において今後も第二新卒の求人は増えていくことが見込まれています。
この章では、企業側が求めている第二新卒のニーズを踏まえ、第二新卒者が採用面接においてアピールできる第二新卒ならではのアドバンテージを3つ紹介します。
- 社会人としての経験値
- 今後の成長ポテンシャル
- 募集職種やポジションに特化した適正
1. 社会人としての経験値
第二新卒は、新卒とは異なり一定の社会人経験があるため、基本的なビジネスマナーやビジネススキルを有しています。
企業にとって、基本的なビジネスマナーや一定のビジネススキルを有していることは、研修にかかるコストや時間を削減できるため、大きなメリットになります。
そのため、面接中は社会人としてふさわしい行動や発言を心掛けるようにしましょう。
また、ビジネススキルとして具体的に何ができるか、どのような経験があるかを伝えられると面接では高評価につながります。
例えば、以下のような具体的なスキルや実績があれば、面接において積極的にアピールすべきでしょう。
- 「Excelで〇〇関数を使って、××の計算や表・グラフの作成ができる」
- 「〇〇というプロジェクトを推進し、××の成果を収めた」
- 「株式会社〇〇との取引で、××円の売上を上げた」
最近では、ZoomやTeamsを使ったリモート面接も増えており、画面共有で面接官に自分が作成したデータや資料をアピールする方も増えています。
先日面接をした方で、履歴書や職務経歴書とは別に、自己紹介用のPowerPointの資料を作成された方がいました。画像や写真が入ることで、その人のパーソナルな部分を知ることができたため、面接官としても親近感がわき、好印象を与えることに成功しました。
データや資料の作成経験がある方は、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
2. 今後の成長ポテンシャル
「年齢が若い」ということ自体も、第二新卒のアドバンテージのひとつです。
若いということは、それだけ伸びしろがあると言い換えることができるからです。第二新卒を採用する場合、企業は今後の成長ポテンシャルも見込んでいることを理解しておきましょう。
第二新卒は前職での実務経験やスキルも重要ですが、それ以上に今後のポテンシャルや成長性を評価されやすい傾向が強いです。
そのため、面接では謙虚で前向きな姿勢を意識して、成長意欲やポテンシャルをアピールしましょう。
3.募集職種やポジションに特化した適正
中途採用は新卒採用と異なり、あらかじめ募集している職種やポジションが決まった状態で求人が出ています。
第二新卒者も、一定期間社会人として働いた経験を踏まえ、自分自身の仕事の適性やスキルを把握した状態で、募集職種やポジションを選んで選考を希望することができます。
そのため、第二新卒の面接では、自分が応募する職種やポジションをしっかり理解したうえで、自分の適性や希望をアピールするようにしましょう。
面接中に使える言い回しを具体的に紹介します。
- 「前職で○○した経験が、御社の××というポジションで活かせると考えています。」
- 「将来○○のキャリアを目指しており、××という職種を経験したいと思っています。」
第二新卒の採用面接で面接官が見ているポイント

第二新卒の採用面接で、面接官は具体的に何を知りたいと思っているでしょうか?
ここでは、年間300人以上と面接する現役面接官の私が、第二新卒者と面接をするときに必ずチェックしているポイントを3つ紹介します。
面接官が第二新卒を採用する際に懸念しているポイントを事前に把握することで、面接対策が可能になります。ぜひチェックしてみてください。
- 短期離職リスクの懸念がないか
- 基本的なビジネスマナーが身についているか
- 成長意欲や入社後のポテンシャルが見込めるか
1.短期離職リスクの懸念がないか
第二新卒は新卒で入社した会社を3年以内に退職するため、今後も短期間で転職を繰り返すことにならないか懸念しています。
企業としても時間やコストをかけて採用しているため、可能な限り長く働いてもらい、活躍することで会社へ貢献してもらいたいと考えているからです。
そのため、面接の中では必ず転職を希望している理由や、早期退職を検討している背景を確認します。
また、入社後に何をしたいと思っているか、どのようなキャリアパスや将来像のビジョンを描いているか質問することで、長期間就労する意思があるかどうかを確認するようにしています。
2.基本的なビジネスマナーが身についているか
第二新卒者の採用面接では、一般の中途採用以上に基本的なビジネスマナーが身についているかどうか、厳しくチェックしています。
新卒採用であれば、入社後に一斉にビジネスマナー研修を行うことができますが、中途採用の場合は研修にコストや時間をかけることが難しいからです。
具体的には、面接中の言葉遣いやふるまいのみでなく、服装や身だしなみからも基本的なビジネスマナーを備えているかをチェックしています。当然ですが、遅刻は厳禁です。
3.成長意欲や入社後のポテンシャルが見込めるか
社会人経験が浅い第二新卒者は、前職の経験やスキルよりも成長意欲や入社後のポテンシャルが見込めるかどうかを判断基準として、重要視しています。
年齢が若いうちは、どうしても現職で経験できる実務にも限界があり、身についているスキルも限定的になってしまうからです。
そのため、面接では仕事や業務への熱意や、今後の伸びしろがあるかを評価する傾向が強いです。
また、新しい業務や職場環境、人間関係にすぐ適応できる柔軟性があるかも懸念しているポイントの一つになります。
第二新卒の採用面接を成功に導く5つの対策

第二新卒者の多くは、「面接を成功させて希望の会社に入社したい」「面接が苦手なので克服したい」と考えていると思います。
ここでは、第二新卒の採用面接を成功に導くための5つの対策について解説します。
身だしなみや面接におけるマナーなど初歩的なことから、第二新卒ならではのアドバンテージの活かし方、面接時のマインドセットまで幅広くまとめています。
「採用面接が苦手」「面接に通るかどうか不安…」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 身だしなみやマナー、コミュニケーションに気をつける
- 転職理由をポジティブに変換する
- 入社後のキャリアプランやビジョンを明確に伝える
- 面接官に「一緒に働きたい」と思わせるよう意識する
- 面接自体を楽しむ気持ちを持つ
1.身だしなみやマナー、コミュニケーションに気をつける
面接において第一印象は非常に重要です。面接の場にふさわしい髪形や服装かどうか、清潔感があるかなどは、基本的な部分ですが怠っていないか改めて確認してみてください。
特に第二新卒の場合、一般的な中途採用と比べてアピールできる実績や実務経験が不足しており、面接の序盤に第一印象でマイナスイメージを与えてしまうと、後半で挽回するのは非常に困難です。
最近ではリモート面接も増えていますが、その場合は余計に身だしなみに注意が必要です。ZoomやTeamsのカメラ機能で、自分がカメラにどう映るかは事前に確認しておくようにしましょう。
また、見た目のみでなく言葉遣いなどのコミュニケーションも気を付ける必要があります。
社会人としてふさわしい言葉遣いができているか、声のトーンやスピード、相槌は適切かなど、面接官との会話そのものにも意識しておくと良いでしょう。
第二新卒は社会人経験が短く、基本的なことができていない場合があります。自分の身だしなみやマナー、コミュニケーションが社会人として適当かは、意外な落とし穴ですので注意が必要です。
2.転職理由をポジティブに変換する
第二新卒の採用面接で必ず確認される転職理由は、可能な限りポジティブな伝え方に変換するようにしましょう。
面接官も、現職に不満があって転職活動をしていることは理解していますが、転職理由の伝え方にも社会人としての配慮が必要です。
たとえば、仕事にやりがいを感じられず転職する場合は、「前職の経験を活かして、より専門的なスキルを磨きたいと考えたから」と言い換えることができます。
また、給与や待遇面に不満があって転職する場合も、「評価体制が整っている環境で、高いモチベーションを維持しながら活躍できる仕事にチャレンジしたい」と前向きな言葉に変換することが可能です。
例え事実だとしても、面接の場において「前職は○○だったから…」とネガティブな転職理由をストレートに伝えることは、社会人としてふさわしくないため、控えるようにしましょう。
また、第二新卒の面接では、企業側の短期離職リスクの懸念を払しょくすることが重要です。
そのためには、「なぜそう思ったのか?」「そう思ったきっかけは何か?」を、自分の経験を踏まえて伝えることで、より説得力のある転職理由を説明することができます。
- 「前職がブラック企業で、毎日終電まで残業させられていたから…」
- 「体育会系の社風で、上司のパワハラがひどくて…」
- 「社長のワンマン経営の会社で、ついていけないと感じたから…」
3.入社後のキャリアプランやビジョンを明確に伝える
採用面接では、必ず志望動機を聞かれます。志望動機を伝える際、入社後のキャリアやビジョンなども、具体的に話せるよう準備しておきましょう。
実際に、私も面接中に「5年後、10年後にどうなっていたいか、将来像やビジョンを教えてください。」と質問することがあります。
この質問に対し、「入社後は○○のポジションで××を経験し、その後は経験を活かして△△にキャリアアップしたいと考えています。」のように具体的な回答が出てくると、入社に対する熱意や本気度が高いと感じ好印象を受けます。
第二新卒は一般の転職希望者と比べて経験で劣る分、熱意や入社意欲の高さを伝えてアピールする工夫をしてみてください。
4.面接官に「一緒に働きたい」と思わせるよう意識する
第二新卒の採用面接は、募集しているポジションの管理職が直接面接官として採用に携わるケースがほとんどです。
つまり、面接官は自分の部下になる前提の人を面接しているということです。私がこれまで面接した方も、採用後は基本的に全員私の部下になる前提で面接をしていました。
当然ですが面接官も人間ですので、好き嫌いや相性があります。第二新卒者と面接する場合、多少粗削りな部分があったり、経験値が期待に届いていなかったとしても、「この人と一緒に働きたい」と思って採用する場合があります。
その背景には、「この人なら育ててあげたい」「この人なら時間やコストをかければ活躍できるかも」といった面接官の期待が込められています。
「謙虚で素直さが感じられる」「気持ちの良い会話ができる」「前向きで向上心がある」など、面接とは関係なく人としての魅力を兼ね備えることも、第二新卒の面接通過のポイントの一つです。
5.面接自体を楽しむ気持ちを持つ
第二新卒者はまだ年齢も若く、見ず知らずの年上の人と初めて会話することに緊張してしまう気持ちは十分理解できます。自分の転職先になるかもしれない面接という場であれば、なおさらでしょう。
しかし、面接は企業側が採用可否を判断する一方的な場ではないことは覚えておきましょう。
面接を受けている第二新卒者も、面接を通して自分が働くべき会社かを見極めるための時間として、面接を有効活用してください。面接はお互いにとって有意義な時間になることが、本来望ましい形です。
面接の場は、第二新卒者がなかなか直接話すことのできない他社の管理職、マネージャークラスと会話することができる貴重な時間です。社会やビジネスについて知見を広げるチャンスと捉えて、楽しむくらいの余裕をもって臨めると良いでしょう。
また、そういったマインドで面接に挑むことで、緊張が緩和され、リラックスした自然体でありのままの自分を出すことができます。その結果として採用になれば、それはお互いにとって最高の面接だったといえるでしょう。
【Q&A】第二新卒の採用面接で直面する悩み・疑問

第二新卒の採用面接で、直面しやすい悩みや疑問についてQ&A方式で回答します。
Q1.面接に落ちてしまう理由はなんでしょうか?
面接に落ちてしまう要因は様々考えられますが、例えば「転職すること」自体が目的になっていないでしょうか?
「転職すること」は目的ではなく手段です。「自分の理想のキャリアを築く」「スキルアップする」「就労環境や待遇を改善する」などの目的を叶えるために、転職活動を始めたことを思い出して下さい。
面接の中でも、自分が理想とする将来像やビジョンをしっかり伝え、その夢を叶えるために転職を希望していることを強調してみて下さい。その強い思いが、熱意として面接官にも伝わるはずです。
ただし、面接官が第二新卒者に対して何を懸念しているかを意識せず、自分の言いたいことだけを伝える独りよがりの面接では、当然結果は厳しくなります。
詳しくはこの記事の「第二新卒の採用面接で面接官が見ているポイント」の章で解説していますので、参考にしてみてください。
Q2.即戦力になれるか不安です…
第二新卒で面接を受けている時点で、面接官も実務経験が少ないことや実績が乏しいことは想定していますので、過度に心配する必要はありません。
社会人経験が少ない中で転職活動をしているので、期待に応えられるか不安があるのは当然です。不安なことがあれば、面接の中で正直に話してみるのも悪くないと思います。
ただし、ネガティブに聞こえないよう伝え方に配慮が必要です。ストレートに「業務についていけるか不安で…」と伝えてしまうと、自信がない印象を与えてしまうだけになり、マイナスイメージを持たれてしまいます。
例えば、以下のような言い回しであれば、謙虚さと成長意欲をアピールすることができるので、ポジティブに聞こえないでしょうか。
- 「即戦力になれるように、入社前にやっておいた方がいいことはないでしょうか?」
- 「入社後すぐに活躍している人の特徴を教えてください。」
- 「○○した経験は、御社の××の仕事でも活かせるでしょうか?」
Q.面接になると緊張してしまいます…
第二新卒の採用面接で緊張してしまう理由の一つに、必要以上に自分をよく見せようと意気込みすぎていることが考えられます。
実際の面接でも、大きく話しを盛って自分の実績や経歴をアピールされる方がいますが、面接官に嘘を見抜かれてしまい、信用を失うだけですので絶対にNGです。
面接前に入念に事前準備することは当然必要ですが、面接の場ではむしろ素の自分で勝負してみてください。
第二新卒の採用面接では、変に自信過剰だったり高いプライドを持っている方よりも、等身大の自分を素直にさらけ出す方が好印象を与えます。
そのうえで、入社に対する熱意や前向きさといった第二新卒ならではのアドバンテージを有効に活用してください。
詳細は「第二新卒を積極採用する企業は8割以上!面接でアピールすべき第二新卒のアドバンテージ」の章で詳しく解説しています。
【まとめ】第二新卒の採用面接を成功させよう!

この記事では、現役面接官の私が第二新卒の面接が厳しいといわれる理由や、第二新卒というアドバンテージの活かし方を解説しました。
また、面接官が第二新卒者と面接する際に見ているポイントを具体的に解説したうえで、採用面接を成功に導くための対策を5つ紹介しています。
冒頭でも書いた通り、第二新卒の採用面接は事前準備と対策をしておけば、恐れることはありません。
この記事を読んで、一人でも多くの転職希望の第二新卒者が、転職に向けて勇気ある第一歩を踏み出してくれることを願っています。